
ここでは「都市計画法に基づく開発許可制度(第29条)」について整理します。
目次
🏗️ 開発許可とは
「開発行為」とは、建物を建てる目的で土地の区画形質(区画・形状・性質)を変更する行為をいいます。
つまり、宅地造成や道路の新設などを行って建物を建てようとする場合、一定の条件下では**都道府県知事の許可(=開発許可)**が必要です。
✅ 開発許可が必要となる条件
1. 開発行為に該当する場合
都市計画法第4条第12項により、次のような行為が「開発行為」とされます。
- 建築物の建築または特定工作物の建設を目的とした土地の造成(区画形質の変更)
- 例)山林を造成して宅地にする
- 例)農地を盛土・切土して工場や倉庫を建てる予定地にする
2. 規模と地域による条件
| 地域区分 | 許可が必要となる面積 | 備考 |
|---|---|---|
| 市街化区域 | 原則 1,000㎡以上 | 一定面積以上の開発は許可が必要(ただし市町村条例で異なる場合あり) |
| 市街化調整区域 | すべての面積で原則必要 | 原則として開発行為は禁止。特例を除き許可されにくい |
| 非線引き都市計画区域 | 3,000㎡以上 | 市街化区域・調整区域の指定がない地域 |
| 準都市計画区域 | 1万㎡以上 | 準都市計画区域内で大規模な開発を行う場合 |
| 都市計画区域外 | 不要(ただし他法令の許可が必要な場合あり) | 例:農地法、森林法、宅地造成規制法など |
🚜 開発許可が不要となる主なケース(除外規定)
- 農業・林業・漁業用の建築物で、事業上必要なもの
- 既存宅地や既に造成された土地での建築行為
- 国や地方公共団体が行う公共事業
- 都道府県知事が指定した「既成市街地」などの小規模行為
- 面積が基準以下の小規模な開発
📝 開発許可の申請方法(一般的な流れ)
① 事前相談
まず、**市町村または都道府県の都市計画課(開発指導課)**へ相談します。
→ 計画地の用途地域、区域区分、面積により「許可が必要か」確認。
② 申請書の提出
主な提出書類:
- 開発許可申請書
- 位置図・公図・地積測量図
- 設計図書(造成計画図、排水計画、道路計画など)
- 登記簿謄本・土地所有者の同意書
- 農地の場合:農地転用許可申請書
- 各関係法令に基づく許可または同意書(河川法・道路法など)
③ 審査・協議
- 関係機関(道路管理者、上下水道、公園、消防など)と調整が行われます。
- 内容に問題がなければ、開発許可書が交付されます。
④ 開発工事の着手
- 許可取得後、造成や排水などの開発工事に着手できます。
- 工事中は、行政による中間検査が行われることもあります。
⑤ 完了検査・検査済証
- 工事完了後、検査申請を行い、合格すると「検査済証」が発行されます。
- 検査済証がなければ、建築確認申請ができません。
⚠️ 無許可で開発した場合のリスク
- 都市計画法違反(第76条)により、**是正命令・原状回復命令・罰則(懲役・罰金)**の対象
- 建築確認申請が認められないため、建物が建てられない
- 登記や売買でトラブルになる
💡 関連法令との関係
- 農地を宅地にする場合:農地法第4条・第5条の転用許可が別途必要
- 山林の場合:森林法の届出・許可が必要
- 傾斜地造成の場合:宅地造成等規制法による許可も必要
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