掘削にかかせない土留工法

■ シーティング工法とは

シーティング工法とは、掘削作業時に周囲の土砂崩れを防ぐための土留め工法の一つです。
主に鋼矢板やH形鋼などのシート材を地中に打ち込んで土圧を支える方法で、都市部の基礎工事や水際工事、地下構造物の施工などに多く採用されています。

他の土留め工法(山留め壁、ソイルセメント壁など)と比較して、施工スピードが早く、繰り返し使用できる材料を使うためコストを抑えられるというメリットがあります。


■ シーティング工法の主な種類

  1. 鋼矢板シーティング工法
     → 鋼矢板をバイブロハンマーなどで打設し、連続した土留め壁を形成。止水性が高い。
  2. H形鋼+矢板工法
     → H形鋼を建込み、木矢板や鋼板を差し込む方式。狭い現場や一時的な掘削に最適。
  3. 軽量鋼矢板工法(ライトシーティング)
     → 小規模工事向け。人力施工も可能で、宅地造成や小型基礎工事などで使われる。

■ シーティングによる土留め施工の流れ

  1. 事前調査・地盤確認
     施工前に地盤の性質や周辺環境を調査し、必要な鋼材の種類や長さを決定します。
  2. 建込み位置の墨出し
     矢板やH鋼を打ち込む位置を正確にマーキングします。精度が施工品質を大きく左右します。
  3. 打設作業(建込み)
     バイブロハンマーや油圧式プレスで矢板を打ち込みます。
     周囲の振動や騒音対策も重要で、近隣環境への配慮が求められます。
  4. 掘削作業
     段階的に掘削しながら、必要に応じて切梁・腹起しを設置して安定性を確保します。
  5. 構造物施工
     基礎や躯体のコンクリート打設などを行います。
  6. 引き抜き作業(撤去)
     施工完了後、鋼矢板やH形鋼を油圧ジャッキやバイブロハンマーで引き抜き、再利用します。

■ 引き抜き作業のポイントと注意点

シーティング工法の引き抜き作業は、単に撤去するだけでなく周囲の地盤沈下や構造物への影響を最小限に抑えることが重要です。

主なポイント:

  • 引き抜き時は地盤の支持力や水位を確認し、急激な引き抜きを避ける。
  • バイブロ引抜き時は共振現象や周辺構造物への振動影響に注意する。
  • 残留材が地中に残ると、後の施工や地中障害の原因になるため慎重に管理。
  • 引き抜いた矢板・H鋼は変形・損傷の有無を点検し、再利用可能かを判断する。

■ シーティング工法のメリット・デメリット

項目メリットデメリット
コスト材料を再利用でき、経済的初期打設費用は高め
施工性短期間で設置・撤去が可能狭小地では機械搬入が困難
安全性土圧・水圧を確実に支える打設時の騒音・振動に注意が必要

■ まとめ

シーティングによる土留め工法は、安全かつ効率的に掘削作業を行うための重要な技術です。
特に引き抜き作業では、施工後の地盤変状防止や再利用性の確保がポイントになります。

確実な品質管理と施工計画に基づくことで、コスト削減・環境負荷の低減・安全性の向上を同時に実現できます。

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