
住宅や建物を支える基礎は、家づくりに関して最もと言われる工程の一つです。その基礎を構成する主役が、鉄筋(てっきん)と生コンクリート(なまコンクリート)です。この二つがどのように組み合わされたり、私たちの建物を守っているのか、その密接な関係性を解説します。
なぜ!基礎に鉄筋と生コンの両方が必要なのか?
一見、異なる素材に見える鉄筋と生コンですが、それぞれが異なる役割を担っており、必須の存在となっています。
1.生コンクリートの役割:圧縮力に強い
- 生コンクリート(JIS規格ではレディーミクストコンクリート)は、セメント、水、砂利、砂を混ぜて作られ、硬化するとコンクリートになります。
- コンクリートは、上から押しつぶされる力、**圧縮力(あっしゅくりょく)**に対して非常に強い特性を持ちます。建物の重さを床に均一に伝える役割を担います。
2. 鉄筋の役割:引張力に強い
- コンクリートは圧縮力には強いですが、引っ張られる力、つまり**引張力(いんちょうりょく)**や曲げに対する力には非常に弱いという弱点があります。
- この弱点を補うのが鉄筋です。 鉄筋は引張力に対して耐えられる強い特性を持ちます。 地震や風圧などによる揺れ、地盤の沈下など、基礎に引っ張る力や曲げる力がかかった際に、コンクリートが割れたり崩壊したり、するのを支えます。
鉄筋コンクリート(RC)構造の仕組み
基礎工事では、鉄筋で骨組み(配筋:はいきん)を作り、その型枠の中に生コンクリートを流し込んで固めます。これを鉄筋コンクリート(鉄筋コンクリート、RC)構造と呼びます。
強さの秘密:一体となった力を分散
- 鉄筋とコンクリートは、熱による膨張・限界率が非常に似ています。この特性のおかげで、温度が変わっても完全に一体となって力を受け止めることができます。
- この組み合わせにより、圧縮力はコンクリートが、引張力は鉄筋が担当することで、単体では実現できない強靭で耐久性の高い構造体が完成するのです。
- さらに、コンクリートがアルカリ性であるため、内部の鉄筋をサビから守る(不動態被膜の形成)という保護の役割も担っています。
基礎の品質を決めるポイント
鉄筋と生コンが強固な基礎を作るためには、それぞれの品質と施工方法が非常に重要です。
- 鉄筋のポイント:
- 規定通りの太さ、適正、間隔(配筋ピッチ)で正しく配置されます。
- 鉄筋が所定の位置に固定され、生コンクリートを流し込む際に動かにようにします。
- 生コンクリートのポイント:
- 水セメント比やスランプなど、規定された強度と品質の生コンが使用されます。
- 生コンクリートが隅々まで行き渡り、隙間(ジャンカ)ができないよう、正しくに**締め固め(バイブレーターの使用)**が行われます。
- 打設後の養生(ようじょう)期間(水分保持と温度管理)が正しく行われ、十分な強度が出ます。
これらの工程が一つでも疎かになると、基礎の耐久性や耐震性が大きく考えられてしまいます。
まとめ
基礎工事における鉄筋と生コンクリートは、お互いの弱点を補い合い、圧縮力と引張力の両方に対して最大限の強さを発揮するための最強のパートナーです。この強靭なRC構造こそが、建物を永く安全に支え続けるための基礎となっているのです。
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